東京で働く女のひとりごと

アラサー仲間入り。東京で働いて一人暮らし。

化粧は女の武器なのか。

実をいうと、昔から化粧品に全く興味がなかった。

世の女性たちがなぜ化粧品や美容にこだわるのか、

まったくピンとこなかった。

  

これは本音なのだけど、大学生くらいの時から、

正直それは「女性が男性に好かれたいと思う」気持ちの現れだと勝手に思っていて、

軽蔑とか嫌だなということよりは、自分にはあまり関係ないなと思っていた。

 

私は、ずっと心のどこかでそうおもっていた。

 

仕事とか人間関係とか、そういうところでちゃんとできていれば、

別に化粧も美容もしなくても幸せ。

 

そんな私がけっこう大きく変わったのは、つい最近のこと。

 

6月くらいに仕事関係で、営業と喧嘩したとき。

「お前の考えていることがわからない」

「そうやって仕事を続けるなら誰ともうまくやれないと思う」

とはっきりと言われて、どうしたらいいか分からなくなった。

 

冷静に考えると、向こうも悪いし、それ自体は実は大したことなかったのだけど、

そういうコミュニケーションを相手にとられたことがなかったから、

自分がこの世にいる意味をがつんと否定された気持ちになった。

 

ミスがあったり至らない点があったことは今までもあったけど、

「どんな人とでもうまくやれる」と思っていた自分のちっぽけな自負が、

ガシガシと砕かれた時にこんなにつらくて情けない気持ちになるとは思わなかった。

 

悲しくてわんわん泣くというよりも、自分の胃の奥に重い鉛みたいな感情がでてきて、

そいつがずっと私の気持ちをぐいぐいと暗い方にひっぱっていった。

 

通常こういうときは、美味しいものをたべるか、友達とあうか、

好きな漫画や映画をずっとみるか、まあ、そういう感じで解消するのだけど、

どうしてもその鉛がどいてくれなくて、ずっと胃痛がした。

 

そういう気持ちを友人に吐露したら、ふと友人がいった。

 

「なんか、エステでもいってみたら?」

  

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後日、予約したフェイシャルエステ。

(特典とか以外で、予約してお金払っていったのはほぼ初)

 

紹介された小顔フェイシャルエステは超痛くて、泣きそうで、

ああ〜なんのためにやってるんだ〜〜痛い〜〜と思いながらだった。

(ある意味、この瞬間は鉛どころの騒ぎじゃなかった)

 

終わった時に担当してくれた人が言った。

 

「お客様、目がぱっちり開いて本来の姿になりましたよ。綺麗!」

 

お世辞だったと思うし、接客してればそれくらい言うんだと思う。

 

でも、全然自分に関係のない誰かが、自分のことを褒めてくれた。

私、全然頑張ってないし、顔とか全然自信ないんだけど、

でも、この人、私のこと褒めてくれてる。

 

 

そのあと、自分の顔をまじまじとみた。

実際、私の顔は(エステだから当然だけど)綺麗になっていて、

目がぱっちり開いて、いつもよりも確かに可愛くみえた。

 

「あ、なんか私いつもよりも可愛い。」

 

はじめて、そう自分で思ったら、少しずつ元気がでてきた。

私、意外とちゃんと可愛くなれるじゃん。

自分って大事にしたら、まだまだいけるじゃない。

大丈夫。大丈夫だわ。

 

鉛みたいな感情は、そんなちっぽけなことで少しずつ消えていった。

あいつの原因は人間関係のストレスとか、そういったものではなくて、

「自分の自信のなさ」だったということに、その時気づいた。

 

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大事にされて、褒められて、今日も素敵!と思う。

他人から言われるのはもちろん嬉しいし、それを思うのだけど、

それよりも、まずは自分が自分を大事にしたり、褒めなきゃいけない。

 

世の女子たちが熱心にセルフケアしたり、化粧品をあれこれ試したり、

体にいいものを摂取するのは、べつに特定の誰かに見てもらいたいわけではない。

たぶん、自分を大事にして、ちゃんと自信をもって元気にする方法なんだ。

 

 

自分のために自分が努力して、可愛くなって、褒めることで、

女性たちは元気になっていく。

 

あれからちょっとだけ、私も変わった。

興味なかった化粧品も、たまには路面店やデパートに買いにいくようになったし、

月2回くらい、気軽に通えるエステに行くようになった。

 

毎朝ペチペチと化粧水をたたいて、乳液を染み込ませて、丁寧に化粧をして。

「いいじゃん」と鏡の前で思えたら、仕事に向かう。

 

誰かにみてもらおうとは思っていない。別にみせる相手もいない。

でもこれは、毎日の私のために、やっている。 

 

この歳になってやっと、化粧は女の武器、の意味がわかってきた。